「数学セミナー」増刊 「シンポジウム数学 5 量の理論 」,日本評論社,1980年の中の
基調報告 小島順 量の数学について,
討論 江沢洋・小島順・斎藤正彦・高橋利衛・森毅
の2編をアップロードします。
武沢 護さん(早稲田大学 大学院教育学研究科客員教授,高等学院教諭)が,スキャンした PDF ファイルとして提供してくれました。このかなり大きいサイズのファイルを9個のファイルに分割してアップロードしました。武沢さんに深く感謝します。
これを既存のフォルダー「量の計算を見直す」の中に入れました。「討論」は(私自身は別として)すごい人たちです。読み応えがあります。多くの方々に読んで頂ければ,と願っています
このフォルダーの中にすでに入っている同名の論考 “量の計算を見直す” は,1977年8月から6回「数学セミナー」誌に連載したものでした。今回の「シンポジウム 数学 5 量の理論」はそれに次ぐ時期のもので、基調報告「量の数学について」は「量の計算を見直す」の始まりの部分を丁寧に解説しています。
別に,フォルダー「2019年の作品」に次の2編をアップロードしました。
「量の計算の理解と作業を援ける”知的ツール”としての”量の分数” 」 2019/11/30
「分数についてのいくつかの事項」 2019/11/30
の二つです。
40 年以上も前の「量の計算を見直す」,「量の数学について」と比較して,私がどのように変わったか,を見ることができます。
量の計算の理解を援ける” 知的ツール”」として「量の分数」という表現の形式と扱い方を重視する,という意識は当時はありませんでした。”知的ツール” あるいは ”認知ツール”(cognitive tool)という言葉は次の本から借用しました。
ジョゼフ・ヘンリック著/今西康子訳 文化がヒトを進化させた ― 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉, 白楊社, 2019年7月
原著: Joseph Henrich: The Secret of our Success ― How culture is driving human evolution, domesticating our species, and making us smarter ― . Princeton University Press, 2017
この本は”文化と遺伝子の共進化”(culture-gene coevolution)をテーマとしています。
”量の分数”という大変よくできた道具を大脳にインストールすることで,人の知的能力は格段に強化されます。それは子どもにとって一つの飛躍(ジャンプ)ですが,飛躍によって人は賢くなるのであり,それが教育の本質です。
知的な飛躍をもたらす”認知ツール”は,特別に ”できる子” のためのものではありません。いわゆる” できない子” にとってこそ,使いやすい ”認知ツール” の助けが必要なのです。
もう一つの「分数についてのいくつかの事項」では, “初めての分数” を含む広い範囲の事項の議論をしました。作用としての数とその対象(モノ)としての数の対比を鮮明にすることに全体を通して努めました。
量分数については,これまで幾度も取り上げてきました。フォルダー「京都公演資料集」の
[4] 量分数をめぐる計算 ― 時間・距離・速度を例に― 2017/03/11
[5] 時間・速度・距離の計算のまとめ 2016/09/17 東数協・月例研
フォルダー「2019年の作品」の
2 小数の割り算・量の割り算は分数の形式で
などがその例です。
最後に,今回もアップロードの作業を肩代わりしてくれた息子の小島 浩に感謝します。このブログは自分で入力しています。